ようこそタイニールームカフェへ。

私はこのカフェの店長、チベットスナギツネのクレインです。

このカフェを利用されるのは初めてでいらっしゃいますね。

お客様は普段どのような環境で読書をされていますか？

部屋のソファに座って静かに読んだり、ベッドにごろんと寝そべって読んだり、お気に入りの喫茶店で読んでいらっしゃるかもしれません。

でも、読んでいる本の内容に合った場所で読書ができたら、もっと作品に没頭してわくわくドキドキできるのに、と考えたことはございませんか？

ファンタジーを読んでいたら幻想的な場所で、ホラーを読んでいたら暗い森の中や幽霊屋敷で、SFを読んでいたら近未来や異世界で…というように、作品に合わせた場所で読むことができたらどうでしょうか？

日常の風景の中で読書するよりも、作品に没入して自分が作品の中の一部になったような感覚で読書ができるような気がしませんか。

そんな作品との一体感を叶えられるのが、このタイニールームカフェです。

店内をご覧ください。カフェと言ってもテーブルや椅子は一切ございません。

その代わり、小さなガラスドームがたくさんあるのが見えると思います。

あちらはミニチュアのガラスドームです。

お客様にはこちらのガラスドームの中で読書をしていただきます。

いえいえ、冗談ではございませんよ。

このガラスドームはスイッチひとつでお客様をドームの中に連れて行ってくれるのです。

店内のガラスドームの中をいくつかご覧いただきましょう。本来はお客様のプライベート空間なのでお見せできないのですが、今日は特別です。

こちらのガラスドームの中では、食いしん坊のハムスターのお客様が大きなドーナッツをソファーにして本を読んでいらっしゃいます。主人公が小人になるお話を読んでいらっしゃるのでしょうか。あ、少しドーナッツをつまみ食いされていますね。

こちらのお客様はいつもおいしそうな食べ物の描写がある本を読んでいらっしゃいます。

こちらのガラスドームはマッシュ様が故郷の森で読書中…いや、読み疲れてキノコの上でお昼寝中ですね。

ドームの中でどう過ごすかはお客様の自由です。

このように皆様思い思いの空間で読書を楽しんでおられます。

タイニールームカフェには3つのコースがあり、お好きなコースをお客様に選んでいただいております。

まずは、「読みたい環境で読書するコース」。

こちらはお客様のご要望に合わせた環境をご提供するコースです。

「南の島」「お花畑」「静かな森の中」など、落ち着いて読書ができるお好きな場所をご用意いたします。

さきほどのマッシュ様が選択されたコースはこちらです。

次は、「読む本の内容に合わせて景色を変えるコース」。

お客様の頭の中にある本のイメージをガラスドームの中に映し出します。読んでいるページの内容に合わせて、景色が変化するコースです。さきほどのハムスターのお客様が選択されたのはこちらのコースです。

最後は、先ほどの「読む本の内容に合わせて景色を変えるコース」を本格的にしたコースです。

ストーリーに合わせてお客様の頭の中にあるイメージを映し出すのに加えて、匂いや気温、環境音などもプラスして、本格的に本に没入できるコースです。

体験型読書空間と言えるかもしれません。お客様の想像力が豊かであればあるほど、目の前に広がる世界はリアルに、そして壮大になります。

本の中を旅するように読書ができます。

また、お客様のご希望に合わせてお飲み物やお食事をお出しすることもできます。御用の際はガラスドーム内にあるベルでお知らせください。

ご説明は以上になります。

さて、お客様はどちらのコースをご希望でしょうか？