2019/11/01 10:43

液体の街の中でもひと際大きく、陸地の部分では最も人が集まる店が「なんでもジュース屋さん」である。
その名の通りどんなものでも飲物にしてくれるお店で、果物や食べ物に限らずタイヤや岩、そこらの樹木やガス、布や紙なんかも飲めるようにしてくれる。

客の血液検査や身体検査をして、有害になる物質は取り除きつつ、ジュースにして味合わせてくれる。

陸に遊びに来た魚たちにも人気があり、普段ジュースどころか飲物をあまり飲むことがない魚たちの近場での観光スポットになっている。

液体化の方法は物質によって違うらしく、圧力をかける、お湯に溶かす、水に溶かす、一度ガスにするなど様々で、各街での他の形状への変換を研究してきたタコが店長をしているのだそうだ。

当然おいしいものばかりではないが、逆にそれを求めて来ている人の方が多いくらいで、とてもおいしいオリジナルミックスジュースを飲みに来る人はほぼいない、と店員たちが嘆いている。

一度液体化したものでも、形状がシンプルなものであれば元に戻すことができるが、飲んでしまった部分は当然復元されない。

実は、液体の街の葬儀方法も同じ技術が使われている。