2019/10/07 12:37

鉱物の街にはいくつか救助要請の方法があるが
その中の一つに「SOSの合図となる香りをミニ扇風機で送る」というものがある。

救助要請を受けて現場に向かうのが、モグラとオオカミのコンビである。
臭いを立体的に嗅ぎとれるモグラが位置と距離の特定し、オオカミは迅速な現場到着と
救助、遠吠えによる応援要請を担当している。

頭の上からオオカミに指示を出すモグラは、活動に必要な食事の量が多く
半日も食べないと餓死してしまう。そのためパトロール中は常に何かを食べているが
それらは全てゼリー状のものと決まっている

なぜゼリー状なのか。その理由は
このコンビが考案された当初モグラがモグモグしている最中にSOSの香りを嗅ぎ
焦ってしまった結果喉に詰まらせて救助が遅れたり、場合によってはモグラが救助される側になる
という事態が頻発した。

そのためモグラの食事は、喉に詰まりづらいゼリー状のものか、栄養ドリンクに限られることとなった。

しかし別のモグラオオカミコンビにたまたま遭遇した際は、ジャンケン的なゲームをして
勝った方が固形の食べ物を食べ、負けた方は食べ終わるまでその様を見続けなければいけないという
裏ルールがいつのまにやら出来上がり、いつ別のコンビに会えるかソワソワしながらパトロールをしてるんだそうだ。

オオカミはオオカミで、連続で3回同じ異性とパトロール中に出会うとその2匹はつがいになるというジンクスがある。
ただ、同性や別の異性と遭遇するとリセットされるんだそうで、なかなかつがい誕生の話は聞かない。

最近2回連続で意中のメスオオカミと出会い、ついにつがい誕生か!?と盛り上がったものの
3度目の遭遇がよりにもよって母親で、悲しいやら悔しいやらつい遠吠えで泣いてしまった。
ただごとではない鳴き声に大事故でも起きたのかと急いで駆けつけてきた鉱山中のオオカミに、
母親に抱き着いて号泣しているところを見られて、毛が赤くなるほど恥ずかしい思いをした挙句
意中のメスオオカミに振られてしまったんだそうだ。

そんなソワソワコンビが何組も鉱山中をパトロールし、不測の事態に備えているのである。