2020/02/16 00:43
誰かの強い想いは、この世界では「想い玉」というほんわりした光の玉として、目に見える形になって現れる
想いの発生源は月の内側に限らず、どこか近くの星や、はたまた異世界のような場所かもしれない
この世界では自然現象のひとつとして当たり前になっている想い玉だが、この時期、想い玉の中にハートの形をきたものが多く混ざるようになり、その中には傷ついてしまっているものも少なくない
そうしたハートの想い玉を、直して改造して送り返す職人がいる
今までたくさんのハートを直してきたナマケモノのおじいさん職人と、その助手兼弟子が2人
弟子の片方はとっても元気でいつもエネルギッシュ
もう片方はネガティブで落ち込みがちだけど共感性が強い慰め上手
そんな2人の弟子のドタバタ劇をいつも優しい笑顔で見守りつつ、おじいさん職人は毎日色んなハートを直している
機械の街に住むその職人の元には、壊れたハートがたくさんある
中には時間が経って自然と直っていくものもあれば、粉々に崩壊する寸前になってしまうものもある
自然に直っていってるものは、傷が膿まないように良い匂いのする薬草を添えて送り返すだけでいいが、傷が深いものや欠けてしまっているもの、自己修復する力も残っていないものは、様々な道具や手法を駆使して修理が行われる
・傷を縫う またはつぎはぎ
・ガス抜きするための煙突
・消化槽や浄化槽
・消火装置(スプリンクラーや如雨露)
・ストーブ(ハートを温める装置)
・燃料タンク(エネルギー容量の拡張)
・よくぶつかるところに装甲板や緩衝材
・弱いところに鍵付きの扉
・状態を把握するためのメーターや警告灯
・鈍くなっているところにセンサー装着
・しっかり感情を巡らせるパイプ
・エネルギー量をコントロールするバルブ
そのハートに合った修復や補強をし、装置をつけて、元の場所に送っている
どう送るかはおじいさん職人しか知らない
ただ黙々とハートを直して送り返すおじいさん職人に、送り返したハートはどうなるのか尋ねても、「いつかわかるよ」としか言って優しく微笑むだけ
傷ついたハートとハートの修理工場で働くおじいさんのお話