2019/11/25 00:09

家具の街で木造家屋を得意とする大工集団、シンリンオオカミ組。
持ち前のチームワークでオヤカタと呼ばれるオオカミを筆頭に素早く家を組み立てる。

この世界にはあまり上下関係というものが存在しないが、シンリンオオカミ組はオヤカタとそのほかの者とで明確な上下関係が出来上がっている。
ふんぞり返って現場を見渡せる場所に座り、「その柱はこっちだって言っただろうがボケ!」「チンタラ歩くんじゃねぇ!このウスノロ!」など、牙を剥いて怒号のような指示を出すオヤカタと、「ヘイ!すいやせん!」とその指示に従うオオカミ達。

とはいってもお互いにその役割を楽しんでいる風であり、当然オヤカタの間違った指示には遠慮ないツッコミが入るし、オヤカタも威厳なく「あ、ほんとだ。ごめんね。」と謝る。上下関係というより役割分担というものに近い。おそらく以前見た何かに倣って、このような指示系統に落ち着いたものと思われる。

オヤカタの決め方も、引退する際のアミダクジのような運任せで決まる。
決まった途端、その者をオヤカタとして担ぎ上げ、オヤカタも不慣れながら怒号を飛ばすようになる。

活気に溢れ、みるみるうちに家が組みあがっていく様はエンターテインメントとしても成立するような面白さがあるため、現場にはいつもギャラリーができる。

組の誰かに子供が生まれるとみんなで育てるという、みんな家族のような人情味あふれる組である。