2019/10/09 23:50
雷オヤブンの近くに卵を産む雷蜘蛛の子供たちは、雷オヤブンの連絡係と言われている。
雷オヤブンの激しい雷鳴が鳴り響いた時、小さな虫のような雷が大勢で雲の表面を走り、別の雷オヤブンに向かっていくことがある。
この現象を、雷の街では「蜘蛛の子が走っていった」と表現するが、おそらくいるであろうと昔から言われている空想上の生物で、実際に雷蜘蛛という雷生物が捕獲されたことはない。
雷鳴に反応して散るその小さな雷は、たしかに蜘蛛の子を散らした様子によく似ている。
この雷蜘蛛の子が連絡係と言われる理由は、蜘蛛の子が走って行ったあと別の雷オヤブンに何かしら影響があるからである。
例えば怒ったように活発になったり、逆に大人しくなったり、泣くように小さな落雷をパリパリさせたり、不機嫌にゴロゴロしたり、というような様々な変化が確実に起こる。
そんな雷オヤブンを見て、別のオヤブンからの手紙に反応しているように見える様から、雷オヤブンの連絡係、または「オヤブンの運び屋」とも呼ばれる。
雷蜘蛛の子と呼ばれる雷は雷採集棒で採集することができないため、まだ調査されていない。
ただの自然現象を生き物に例えているだけかと思われていたが、昔から雷雲の目撃例は多く、中には親の雷蜘蛛を見たという者や、その卵を見たという者もいるという。
雷採集棒に反応しない雷は、他の雷生物も含めて見つかっていないため、特殊な雷であることは間違いないが
採集方法や調査方法は現在、研究の街で検討中である。