2019/10/07 12:38

ある山のふもとに広がる森に、ある日突然雪が降るようになった。

その森で暮らしていたヘビの子ども達は冬眠を知らずに生きてきた種で、突然の寒さに戸惑い、とっさに近くに生えたウツボカズラに身を隠し、暖を取った。

ウツボカズラもヘビの体温に助けられ、なんとか急激に下がった気温に対応した。

ヘビはそこで春を待ちつつ、そのお礼に食べ物を捕まえる手伝いをして過ごした。しかしいつまで待っても雪は止まず、そうこうしているうちに共生関係が出来上がった。

ウツボカズラとヘビの神経がつながり、ツタを使って歩行ができるようになった。ヘビの胃とウツボカズラの消化器官も融合し、蛇が捕食し消化した栄養も共有できるようになった。

そのヘビは寿命が長く知能も高かったため、様々な捕食方法を考えだしては仲間の蛇と知識を共有。そのうち他の動物を見て巣の作り方も学習し、自分達の住みやすい巣を作っていった。

雪の街のふもと、雪が降る森の中で、大きな雪玉が木にぶら下がっている。
大人のカピバラが丸まったら、ちょうど同じくらいの大きさになるだろうか。
雪玉からツルが一本、真上の枝に向かって伸びている。

色々な巣を試した結果、ずいぶん昔にこの形におさまったようだ。

と、雪の街近辺で森の野生動物を調べている、生物学者クマが教えてくれた。

このウツボカズラヘビは動きも性格ものんびりしていて、近寄っても逃げず逆に興味を持って近づいてくるんだそうだ。

ただ親愛の印なのか囮のつもりなのか、現在消化中の食べ物をヴェッと出して相手の反応を窺うとかで、その習性を知らない人は驚いてしまうだろうと笑いながら話してくれた。

確かに、出会い頭にそんなことをされたら、間違いなく逃げたくなる。
今日も雪山から吹き下ろす冷たい風が大きな雪玉を揺らしている。