2019/10/07 12:33

中心が深い森になっており、その四方を囲うように4つのエリアがある。

北は雨が少ない乾燥エリア、東が鉱石山から続く高地エリア、
西は雨が多く気温が高いジャングルエリア、そして南に位置するのが最も賑わっている明るい森エリア。

他の街から来るものも、大半は明るい森のエリアで過ごす。
他のエリアで取れる食物や素材の大半は明るい森に持ち込まれるため店の種類や数が豊富で
植物の街独特の家やホテル、また色鮮やかな花畑や散策に向く森なども数多くあるためである。

この街の大きな特徴の一つとして、この街でしか取れない色々な木の実がある。
野菜や果物はもちろん、肉の実、魚の実、ガスの実、石の実、金属の実、光る実などなど。
深い森エリアにはいまだに新種の実をつける木が数多く残されていると言われている。

この街の植物が作る葉や木の実は、世界中に暮らす動物型の住民たちの主な食べ物の一つ。
収穫された実はそのままの状態か保存が効くように干されて世界中に輸送される他、
飲食の街に持ち込まれて調理された上で他の街に届けられる。

この街に住む様々な植物の中には、目や口に似た器官を持ち意思の疎通ができるものがあり、
文字言葉や香り言語を話すものもいる。
キノコや長く生きた樹木に多く見られるが、草花の中にもそういった器官をもつに至る植物がいる。
植物達の話では「望めばそうなる」ものらしく、話したいと思った草木は話せるようになるのだそうだ。

また、根を足のようにして歩く木や、手足を生やすキノコ、「草玉」と呼ばれる状態になって
動物と同じように動き回れる植物もいる。

草玉とは、長く生きた樹木がそこに生えていることに飽き、
樹木の身体の大半を捨てて短い足の生えた球状となった状態のことを指す。
自らの葉を体中にまとい、自分の子となる殖木を背負って新たな地へと旅立っていく。
そして、気に入った景色の地に殖木と自らの体を埋め、親子で根を張って暮らすのである。

手足を生やすキノコも、動機は同じく飽きたからというものが多いが、
手足がなくてもにじるように移動できるキノコも多いため、本来わざわざ足を生やす必要がない。
そこは気分の問題なのだそうで、旅をしようと決意すると手足が生えるものが多いらしい。